静岡道楽日記

静岡空港ソウル線、視界不良につき近隣空港に迂回せよ！

静岡空港が紆余曲折を経て６月に開港するようです。開港前は鳴り物入りで全国各地や東アジア諸国はおろかハワイや東南アジアなど多くの外国線も就航予定と大風呂敷を広げておきながら、開港時には外国定期路線は地方空港ではおなじみのソウル便と上海便のみ。この２つのうち、海外旅行好きでなくても注目を浴びるのが今話題のソウル便でしょうね。事実、最近読んだフリーペーパーでも２泊３日の旅行ならどこへ行きたいか？とＯＬさんに聞いたら半数が「ソウル！」と答えたそうですから。


　
このソウルは買い物、グルメ、エステ、韓流ドラマ・・・と、目的は色々でしょうが、不景気の中、格安に気軽に行けるのは魅力です。おまけに空前のウォン安で人気に拍車がかかっています。なんせブランド品は日本で買う半分から３分の２、おまけに韓国コスメが某オネエＭＡＮのおかげでブレイクしていますからね。ボーナスが出たら静岡空港からソウルへ行きたいと思っている県内の人もたくさんいるかと思います。

が、本当に気軽に静岡空港から格安にソウルに行くことができるのでしょうか？

私は、一抹の不安を覚えています。一抹どころか、かなりの確率で一度でも静岡空港ソウル便を使った人は「やはりセントレアの方がちょっと遠いけどいいねぇ」とか「今度は羽田にしよう」とか「やっぱ静岡空港使えねぇ」なんて声が聞こえてくるのではないかと思っております。

それはどうしてでしょうか？

その１、フライトスケジュールが使えねぇ！

せっかくのソウル便１日２便（今のうちは・・・）なのに、大韓航空もアシアナ空港も僅差のスケジュールを組んできたのです。静岡発１２時前後はまだ許せます。が、ソウル発９時３０分頃発はダメでしょう。これではホテルを早朝７時前に出ないといけません。朝飯を食べている暇もありません。黄色いネクタイが好きな人は「良い時間（スケジュール）を組んでくれた」とアシアナ空港の偉い人に言ったそうですが、社交辞令が入っていたとしても「それは言いすぎじゃないの？？」と思ってしまうのは私け？？。

たとえば主流の２泊３日のツアーで検証してみましょう。　静岡便の場合は自由時間は２日目のまるまる１日しかないのです。

１日目・・・12:30静岡空港発 14:30ソウル（仁川）空港着～ホテル着18:00～19:00頃到着
2日目・・・自由行動
3日目・・・ホテル早朝6:00～6:30頃発～9:30ソウル（仁川）空港発　11:30静岡空港着

と、なります。1日目はソウル（仁川）空港がソウル市内からバスで１時間30分ほど掛かる上に免税店や他のホテルへ寄るためホテルへ入れるのは夕方６時か７時頃になってしまいます。これでは夕食を食べたら近所への買い物くらいしかできません。まぁソウルの場合は東大門付近なら朝まで買い物できますからＯＫという人もいるのでしょうが・・・。3日目はさらに悲惨で朝6時過ぎにはホテルを出発しなくてはいけません。そして空港の巨大免税店のショッピングを楽しむ時間もそれほどありません。

しかし、セントレア利用ならば、こんな風にできるのです。

1日目・・・9:30中部国際空港発　11:30ソウル（仁川）空港着～ホテル着15:00～16:00到着
2日目・・・自由行動
3日目・・・ホテル14:30～15:00頃発～18:50ソウル（仁川）空港発　20:50中部国際空港着

と、なります。これなら１日目も３日目もちゃんと遊ぶことが可能なのです。まぁハードスケジュールになりますが、この差は余りにも大きいですね。羽田発でも朝から午後、深夜と何便もありますから目的に合わせてスケジュールを組むことが可能です。静岡空港利用ならば４日間にしないと満足できないと思います。



その２、羽田、セントレアに比べて割高な価格設定になりそうだ！

この不景気で、海外旅行も少しでも安く行きたいと多くの人が願っていると思います。これに関しても静岡県では「駐車場が無料」「空港施設利用料がかからない」と宣伝しておりますが、これもセントレアや羽田、成田までの交通費を勘案してからの結論になります。ツアー料金や格安航空券の価格は需要と供給からきます。午前便の方が夜便より高くなるのはここからきているのですね。また何社もの航空会社が乗り入れているなど競争が激しければそれだけ安くなります。

そこで、静岡の場合はどうでしょうか？　６月のツアー料金が出ていますが、セントレア発のツアーと比べてみると同じホテル利用で５千円から１万円ほど高くなっているようです。しかし、セントレアの場合は昼日本発の午後ソウル発と滞在時間が長くなっています。さらに激安１９、８００円なんてツアーが登場しやすいのも大きな空港発着のものがほとんどです。羽田の場合もセントレアと大差ありません。しかもソウル市内まで地下鉄が使えて距離も近い金浦空港利用なのです。おまけにこちらは深夜便なんて隠し玉まであります。

また、格安航空券の場合は同じ曜日で比べるとやはり５千円から１万円ほど高いようです。ただしこちらはセントレアは夕方日本発の朝ソウル発と静岡有利です。が、静岡便よりも安い金額で朝日本発の夕方ソウル発という魅力的な便も利用できるのです。浜松近郊からならこれを利用した方が格段に良いですね。羽田発もやはりセントレアと同じようなものですね。東京で遊んだり買い物してからソウルへ行くなんてことも可能です。




さらにソウル便で忘れていけないのは航空会社が独自に設定している正規割引ＰＥＸ運賃です。大韓航空の場合はパスカルの名称で親しまれています。これはけっこう格安で有名なのですが、静岡便はまだ発表されていませんが、小松や新潟、仙台などの他航空会社との競争が激しくない地方空港の場合、やはりセントレアや成田便よりも１万円ほど高く設定されているのです。私の考えではセントレアや成田便と同じ価格帯では出てこないと踏んでいます。

その３、道の駅、サービスエリア並みの静岡空港ターミナル！

海外旅行は、普通の人にとって１年に１度か２度の楽しみです。これはソウルという近距離でも同じことではないでしょうか。「空港には２時間前までに来てください」とよく言われますが、チェックインが終わってからと手荷物検査、出国検査が終わってからのひとときは色々なショップを覗いたり、コーヒーショップでお茶したり、免税店で下見チェックをしたり・・・と、海外旅行ムードを盛り上げる時間だと思います。最近オープンしたりリニューアルした空港はこの部分を非常に重要視していますね。

しかし、静岡空港は違います！　私はターミナルビルの概要を見てびっくりしてしまいました！！　ビルの中に入るのはパンで有名なコンビニのＤ、県内の産品を主に売るショップ、静岡県中部、東部でお馴染みのデカネタで売っている回転寿司で有名なＵのレストランでほとんどです。気になる免税店の広さはちょっと大きめのコンビニくらいです。個別のブランドショップなんて影も形もありません。それから国際空港では当たり前のラウンジもありません。ゴールドカードを持っている人は宝の持ち腐れです。このような情報は、テレビでも新聞でもＰＲしていません。皆さん知ってましたか？



この概要では静岡空港近くの東名牧の原サービスエリアか国一の掛川道の駅となんら変わりありません。むしろあちらの方が良いかもしれませんね。県では「コンパクトで機能的」と説明していますが、裏を返せば「簡素（質素）でつまらない」ということになります。日本最大級や最新鋭の化学消防車を３台も導入したり片側２車線のアクセス道路を整備したり、イベントやＣＭにお金を使うならもう少し施設の内容の充実を図った方が良かったのではないでしょうか。これは豪華とは意味合いが違います。

以上のことを勘案してみると、あえて静岡空港からソウルへ行くのに適しているのは、掛川から富士川辺りまでの人で自家用車で空港まで行かれる人でしょうね。浜松方面の人はバス便ですとセントレア行きもほとんど同じ時間で行くことができますし、三島沼津方面の人は新幹線や空港リムジンバスで羽田まで行った方が同じ金額でツアーや遊び方の選択肢が格段に広がります。

私の予想では静岡県が何らかのインセンティブを大量に大韓航空とアシアナ航空に払わないと１年ほどで１日１便に減便になると思っています。まぁこれもウォン安ソウル人気が続けばわかりませんが・・・。ただ、言えることは、賢い海外旅行をしたいのなら静岡空港の利用だけを考えるのではなく、他の空港利用も候補にしてみることだと思います。幸いにも現代においてはネットで即座にあれこれと情報を入手できますからね。