拙者、十割でござる、大遺跡で満腹でござる！ そば半
拙者、十割麺堅左ェ門と申すものでござる。道楽は、諸国のうまいもの巡りでござる。夏になると特に江戸前のうなぎや蕎麦などが好みでござる。先日は、駿府城下町の南にあるそば半なる人気のお店へ行ってみたでござる。この店は、店が開く時刻より多くの客人が訪れ、大層な人気で、拙者の期待も大いに高まるというものござるなぁ。店構えも柳の木が植えてあったり、雰囲気の良い塗り壁であったりと憎い演出である。
これは、店の中に入っても変わらずかなりのお金が掛かっているように思ったでござる。店の中は商家風というより田舎の豪農の家を移したような感じで、落ち着いて蕎麦を愉しむことができるのである。座敷と腰掛式のもので食することができるようであるが、拙者は腰掛式にて食することにしたのでござる。
品書きはたくさん書かれていたのですあるが、拙者は電子瓦版でおいしそうなものを調べていたので、すぐに注文したでござる。大遺跡そばと天丼を２人で分けて食べるという寸法でござる。丁稚さんに注文し終わり、蕎麦がくるのを待っていたところ、お店になにやらお菓子の箱を持ち込んできたおなごが来たではないか。何かと思ったら南蛮渡来の釜焼き最中の中に卵と牛の乳で作った甘い餡が入ったお菓子ではないか。蕎麦屋の甘味といったら蕎麦団子とか蕎麦汁粉だと思っておったのだが、これには正直驚いたでござる。
どうしてかと、品書きを見てみたら納得したでござる。このそば半なるお店、仁陣を中心とする味匠なるいろいろな食べ物屋を手広く駿府の町で繰り広げている大店網のひとつで、その中に南蛮菓子のお店もあったのでござる。その店から開店時刻にあわせて運ばせたという寸法であろう。なかなか憎いことをやるではないか。ひとつ百二拾文であるし、これなら若い娘も童も喜ぶであろうなぁ。あと手土産にしてもよかろう。
さて、そんなことを眺めていたら、蕎麦が最初にやってきたでござるよ。大の売り文句通りに凄い量があって少々面食らったでござる。普通の三倍というのはあながち間違いない大盛りで、これなら大食漢でも満足であろうかと思われますぞ。では、最初は蕎麦喰いの定石通りに蕎麦自体の味を試してみたでござるが、香りはそれほどでもないが、細さと味、噛み応えはなかなかのものであった。ただ売り文句の十割の強烈さ、芳醇さは拙者には感ずることができなかったでござる。
それから、残念だったのが、つけ汁が拙者の好みに合わなかったことでござる。薄いというか、出汁が効いていないというか、蕎麦に負けてしまっているように感じたでござる。あと、些細なことでござるが、電子瓦板では、本山葵を自ら摩り下ろすということらしかったのであるが、普通に摩り下ろしたものが付いてきただけであったのでござる。しかし、この多さで千文というのは良いのでないかと思った次第でござる。
もうひとつの天丼も千文であるが、普通の天丼と違って天ぷらにはほとんどたれが掛かっていない状態でやってきて、自ら天つゆに浸して食べる寸法になっていたのでござる。まぁ邪道といえば邪道であるが、蕎麦のお供になってかえって良かったと思ったでござる。労せずして天ざる蕎麦が出来たでござるからなぁ。
この天丼であるが、大きな海老が２本乗っていて良いではないか。食感も流行言葉でいうとプリッとしているのでござる。甘みもあるし、揚げ方もなかなかのものである。あとはかぼちゃや茄子、しし唐などの野菜であるが、やはり中心は海老であるなぁ。これに穴子でもあれば完璧であろうが、それは無理というものであろうなぁ。
と、こちらのお店は値段と味、量など総合的にそこそこ満足できるものであるから人気があるのであろうと拙者は考えたのでござる。ただ、駿河、伊豆、遠州はむろん、江戸や信州、飛騨など諸国で名声を誇っている蕎麦の店を巡ってきた身としてはもう少し心に応えてくれる何か、そう玄人好みの技や味が欲しくなってくるのである。ただ、気軽に蕎麦をたぐりに行くとか、奥方や童、お年寄りを連れていくのはよいかもしれないと思った次第でござる。
静岡市駿河区登呂6-2-1
054-286-6333 11:00～15:00 17:00～22:00（日祝は～21:00まで）
定休日 火曜日
拙者、十割麺堅左ェ門と申すものでござる。道楽は、諸国のうまいもの巡りでござる。夏になると特に江戸前のうなぎや蕎麦などが好みでござる。先日は、駿府城下町の南にあるそば半なる人気のお店へ行ってみたでござる。この店は、店が開く時刻より多くの客人が訪れ、大層な人気で、拙者の期待も大いに高まるというものござるなぁ。店構えも柳の木が植えてあったり、雰囲気の良い塗り壁であったりと憎い演出である。
これは、店の中に入っても変わらずかなりのお金が掛かっているように思ったでござる。店の中は商家風というより田舎の豪農の家を移したような感じで、落ち着いて蕎麦を愉しむことができるのである。座敷と腰掛式のもので食することができるようであるが、拙者は腰掛式にて食することにしたのでござる。
品書きはたくさん書かれていたのですあるが、拙者は電子瓦版でおいしそうなものを調べていたので、すぐに注文したでござる。大遺跡そばと天丼を２人で分けて食べるという寸法でござる。丁稚さんに注文し終わり、蕎麦がくるのを待っていたところ、お店になにやらお菓子の箱を持ち込んできたおなごが来たではないか。何かと思ったら南蛮渡来の釜焼き最中の中に卵と牛の乳で作った甘い餡が入ったお菓子ではないか。蕎麦屋の甘味といったら蕎麦団子とか蕎麦汁粉だと思っておったのだが、これには正直驚いたでござる。
どうしてかと、品書きを見てみたら納得したでござる。このそば半なるお店、仁陣を中心とする味匠なるいろいろな食べ物屋を手広く駿府の町で繰り広げている大店網のひとつで、その中に南蛮菓子のお店もあったのでござる。その店から開店時刻にあわせて運ばせたという寸法であろう。なかなか憎いことをやるではないか。ひとつ百二拾文であるし、これなら若い娘も童も喜ぶであろうなぁ。あと手土産にしてもよかろう。
さて、そんなことを眺めていたら、蕎麦が最初にやってきたでござるよ。大の売り文句通りに凄い量があって少々面食らったでござる。普通の三倍というのはあながち間違いない大盛りで、これなら大食漢でも満足であろうかと思われますぞ。では、最初は蕎麦喰いの定石通りに蕎麦自体の味を試してみたでござるが、香りはそれほどでもないが、細さと味、噛み応えはなかなかのものであった。ただ売り文句の十割の強烈さ、芳醇さは拙者には感ずることができなかったでござる。
それから、残念だったのが、つけ汁が拙者の好みに合わなかったことでござる。薄いというか、出汁が効いていないというか、蕎麦に負けてしまっているように感じたでござる。あと、些細なことでござるが、電子瓦板では、本山葵を自ら摩り下ろすということらしかったのであるが、普通に摩り下ろしたものが付いてきただけであったのでござる。しかし、この多さで千文というのは良いのでないかと思った次第でござる。
もうひとつの天丼も千文であるが、普通の天丼と違って天ぷらにはほとんどたれが掛かっていない状態でやってきて、自ら天つゆに浸して食べる寸法になっていたのでござる。まぁ邪道といえば邪道であるが、蕎麦のお供になってかえって良かったと思ったでござる。労せずして天ざる蕎麦が出来たでござるからなぁ。
この天丼であるが、大きな海老が２本乗っていて良いではないか。食感も流行言葉でいうとプリッとしているのでござる。甘みもあるし、揚げ方もなかなかのものである。あとはかぼちゃや茄子、しし唐などの野菜であるが、やはり中心は海老であるなぁ。これに穴子でもあれば完璧であろうが、それは無理というものであろうなぁ。
と、こちらのお店は値段と味、量など総合的にそこそこ満足できるものであるから人気があるのであろうと拙者は考えたのでござる。ただ、駿河、伊豆、遠州はむろん、江戸や信州、飛騨など諸国で名声を誇っている蕎麦の店を巡ってきた身としてはもう少し心に応えてくれる何か、そう玄人好みの技や味が欲しくなってくるのである。ただ、気軽に蕎麦をたぐりに行くとか、奥方や童、お年寄りを連れていくのはよいかもしれないと思った次第でござる。
静岡市駿河区登呂6-2-1
054-286-6333 11:00～15:00 17:00～22:00（日祝は～21:00まで）
定休日 火曜日
