籠清@小田原市、ヤマサ@豊橋市

SUZY(メンカタ)

2009年12月26日 05:43

蒲鉾が先か竹輪が先か? 老舗について考えてみる

激動の2009年も残り少なくなってきました。年越しの準備とかおせちの支度にお忙しい方も多いかと思います。そんなおせちに欠かせないのがかまぼこです。かまぼこといったら静岡県では焼津が有名ですが、全国的には小田原の方が知名度的には高いのかもしれません。そんな小田原のかまぼこ屋の中でも老舗として知られているのが籠清です。



籠清の創業は、1814年、もうすぐ200年です。江戸時代から小田原でかまぼこを作っていたんですね。籠清の周辺はかまぼこ屋が何軒かあり、年末にはけっこうな買い物客でにぎわいます。その中でも一番雰囲気の良い老舗の風格があるのが籠清の本店だと思います。建物ができたのは関東大震災のすぐ後だそうです。もちろん木造です。

東の練り物の雄が小田原のかまぼこなら、西は豊橋のちくわですね。静岡県民にとっては、豊橋のちくわといったらなんといってもヤマサです。テレビCMもありますし・・・。こちらのヤマサも創業180年とかなりのものです。住所も魚町と練り物屋さんにはぴったりな場所で、旧東海道の宿場町の面影を今でも残す、ちょっと寂れた場所にあります。が、ヤマサの本店だけは威風堂々としています。中に入っても老舗らしいオーラがあります。



籠清とヤマサ、どちらも老舗といってよいと思います。まぁ京都なんかに行くと江戸時代の創業ではまだまだひよっこみたいなものだそうですが、どちらにしてもひとつの企業が200年近く続いているのは凄いものです。この老舗、何気なく普段使いしていますが、考えてみると本当に奥深いというか一体どんなものなのか?真実がつかめないのが実情だと思います。

ネット検索すると、こんなグラフが出てきました。金剛組はテレビで特集していましたから知っていましたが、それにしても千年以上の歴史がある企業がけっこうあるのにはびっくりしました。日経新聞では200年企業なんて特集も非定期でやっていて、静岡県ではFDAで有名になった鈴与も出ていました。

で、小売店で老舗というと、京都の虎屋なんてことになると思うのですが、老舗とわかるのが店構えですね。木造の立派な堂々たる店構えとか大きな板書きの看板とか、見て、入って、買い物して楽しめる雰囲気、オーラがあります。こればっかりは、いくら有名建築家が金を掛けて優れた芸術的なお店をデザインしてもかなわないものがあると思います。

そんな視点で、籠清とヤマサを眺めると、やはり日本人には木造の建物ってDNAに響くものがあるってことです。ちょっとうす暗くて機能的じゃないけど、店の中に流れる空気がいいんですよ。おまけに本店ならではのベテラン店員さんとか番頭さんの対応の良さ。マニュアルでない心温まるホッとするものがあると思います。

この両者に共通するものに、直営店とか斬新な今風な支店も多いのに頑なに創業の地で、昔風の本店の佇まいを残していることです。両者とも本店の場所は、現在の繁華街とは離れた寂しい場所にあるのですが、それでも動かないですよ。業績のことを考えれば一等地に進出して大きなビルを建てることは可能だったにしても、それをしないで本店を守っているのは、老舗企業のプライドなんでしょうか。両者のHPを見ても会社の歴史とともに製品の歴史について深く書かれているのは、その業界におけるリーディングカンパニーの誇りみたいなものがあるからなんでしょう。

このデフレ時代、何でもありの戦国時代にあって老舗といっても昔ほど経営は楽ではないのでしょうが、老舗の名前に驕ることなく、いつまでもおいしい製品を真面目に作り続けていってほしいものです。そうそう、かまぼこ、字を書くと蒲鉾、ガマの穂の鉾ですから、今のちくわに似ているものが祖先ということですから、同じルーツなんでしょう。この辺のことは両者のHPに書かれていますよ。

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