おんなのひとりごはん@平松洋子

SUZY(メンカタ)

2009年11月19日 05:18

写真よりも食欲が刺激されるおいしい文章の数々! 

食べ物、グルメ系のブログやHPでは料理の写真付きのものが当たり前になりました。それどころかデジカメの進歩で、普通の人のブログでも1眼レフカメラで撮影したプロ顔負けの大きな写真やマクロ写真の迫真構図のものが増えてきました。



『百聞は一見にしかず』で、料理の写真をみればおおよその雰囲気やレベルがわかります。しかし、写真のない文章だけで構成したレストラン批評、料理を題材にしたものも依然と魅力があると思っています。想像力の世界でしょうか。マンガと小説の違いと一緒かもしれませんが、写真に頼らないだけ筆力が必要かもしれませんが、読んだだけでよだれが出てくるようなおいしそうな文章というのはあると思います。

そんなおいしそうな文章が載った本が平松洋子さんの「おんなのひとりごはん」です。これは女性がひとりであちこちのお店へ行ったものを短編小説仕立てにして紹介したもの。巻末にはガイドブックも載っています。ではどんなおいしそうな文章か一例を。

ロースカツときたら脂が甘くてとろっととろけて、まるで熱くて甘いソースみたいにふわわっと肉にからまる・・・

ひゃあ、たまらん。かんかんに熱くなった石鍋の肌のうえで、ごはんが爆ぜているのだ。さあ急げ。スッカラを握れ。からし味噌をいれろ。もたもたするな。さくさく混ぜろ。脳内に指令が飛び交い、アドレナリンが一気に吹き出す。

銀皿のうえでこっくり濃茶いろのドゥミグラスソースが艶やかに輝く。夢心地のやわらかなおふとんみたいなオムレツのなか、チキンライスはぱらっと軽やかに仕上げてあり、ハムの切れ端までちゃんとおいしい。

どれもこれも口の中にいれたとたん、ほわっと白い蒸気が上がる。外の衣はさくさく、噛めばほっこほこ、じゅわーと濃い春の味がはじけ飛ぶ。火傷しそうな熱さがありがたくて、天つゆに浸すのさえももったいない・・・

などなど、名文の数々・・・。あー、私も食べ物系ブログを書いているからにはこんな文章を書いてみたいなぁ。

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