流@東山彰良

SUZY(メンカタ)

2017年08月01日 21:19

台湾好きなら読むべし! 台湾の近代史も垣間見れますよ 流

この夏に台湾へ旅行に出かける人もおられるかと思います。海外旅行先として一番先に上がるのが台湾です。日本全国各地から台湾への航空機が飛んでいることからも人気ぶりがわかります。また、毎年出かけるようなリピーターが多いのも特徴です。そんな台湾の歴史となると、ほとんどの日本人には関心がないようです。



そんな台湾の歴史の一端を上質なエンターテインメントとして楽しめるのが直木賞も受賞した、東山彰良氏の「流」です。受賞したときの審査委員のコメントに「20年に一度の最高傑作」と言わしめたほどのもので、台湾好きなら一度読んでみても損はないと思います。私も一気読みしました・・・。そうそう、最近文庫化したのでより読みやすくなりました。

この小説の舞台は台北の下町、観光名所でもある龍山寺近くの広州街で、大人の歓楽街やアンダーグランドな雰囲気がある地域で、今でも怪しげなお店が軒を連ねる商店街や怪しい路地が登場してきます。さらに描かれている時代は戒厳令下の1970年代。今は明るく治安も良い台北ですが、その当時は怪しい雰囲気と危険が香りもする時代だったようで、この雰囲気がミステリー仕立てのエンターテインメントとしてぴったりと合っています。

この小説は、著者の生い立ちである、台湾生まれ日本育ちというバックボーンを十二分に生かした青春小説となっており、日本人が読んでも台湾人が読んでも引き込まれる深い内容となっています。さらに、日本人がほとんど知らない台湾の歴史の一端を教科書的ではなく、小説の形を借りて知ることもできるのもうれしいことで、外省人と本省人との違いや、心理的な葛藤、国民党政治のことなどなど、現代の台湾とは違う一面を知ることができます。

と、ミステリー好きはもちろんのこと、台湾好き、特に下町散歩が好きな人ならはまること間違いない小説となっており、私も次回の台北旅行では舞台の広州街を散策したくなりました。そうそう、この広州街周辺は昔ながらのB級グルメの名店や老舗がたくさんあるので、この辺りも絡めて出かけてみたいですね・・・。

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