阪急電車@有川浩

SUZY(メンカタ)

2012年01月20日 21:25

旅する本棚⑩ 阪急電車今津線で起こる小さなドラマ集

男性だと思っていたら実は女性だったということがあります。けっしてニューハーフのことではなくて、名前しか知らなくて、男性っぽい名前の時に起きます。私の場合だと作家の有川浩さんがまさにそんなひとりでした。有名な図書館戦争シリーズではなくて、シアターが初の有川浩さんの著作だったのですが、2作目を読むまで男性とばかり思っておりました。



そんな有川さんの著作は、関西系若手作家の万城目学さんと同じように映像化されることが多いのです。その理由はドラマ化しやすいということに尽きるのですが、主人公が若者で、現代的で題材が身近なもので、恋あり、悩みあり、成長あり・・・と、わかりやすいからでしょう。今まで、フリーター、家を買うがテレビドラマ化、阪急電車が映画化、シアターが舞台化されています。

今回紹介する阪急電車は、タイトル通りの阪急電車に乗っている乗客が繰り広げる小さなドラマを集めてひとつの話になっていくというものです。俗にいう連作短編集ってやつですね。で、この阪急電車の舞台は大阪・梅田と神戸・三宮を結ぶ神戸本線でも京都線でもない、地味な今津線というのがキーポイントになっているんですね。

私は、この今津線に乗ったことはないのですが、宝塚と西宮北口を結ぶ15分の短い路線で、住宅街、大学、神社などがある生活路線のようです。阪急電車というと、芦屋川や御影、岡本、夙川などの高級住宅地を通る神戸本線のハイソなイメージがあるのですが、今津線はそれよりも庶民的な感じがしました。

そんな今津線でおこる小さなドラマですから、ひとつひとつのエピソードものんびりとしていんですね。いかにもありそうな話ながら、そこは芸達者な有川さんですから、ひとひねりふたひねりしてあって、軽くスイスイと読めちゃうんですね。次はどうなんるだろう?的なワクワク感でなく、のんびりと読めるんですね。そう、電車の中で読むのにぴったりな感じです。

と、電車を舞台にした小説というと、電車男が有名ですが、女性が読むならこちらをお勧めします。そうそう、どちらの映画化されましたが、どちらも主人公が中谷美紀さんというのは偶然でしょうかねぇ。

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