静岡道楽日記

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銀二貫@高田郁

旅する本棚⑫ 話題の大阪が舞台の人情時代小説ですよ

最近、大阪の話題が多いように思います。もちろん個人的なものが多分に入っているのですが、ひとつは橋下市長の話題、そしてもうひとつはNHKの朝ドラのカーネーションです。特にカーネーションは朝晩の2回見ているほどのハマり具合です。

銀二貫@高田郁

そんな大阪、昔の大坂、浪速を舞台にした時代小説が高田郁さんの「銀二貫」です。高田さんは、みをつくし料理帖で有名ですが、私はこれが初読みになります。時代小説ってどうも読まないんですよね。が、この本はそんな気負いもなくスラスラと読めてしまいました。とはいえ、読みやすいのにじんわりと感動というか温かい気持ちが自然とわいてくるのです。書評に震災後にこの本を読んで癒されるとともに元気になったというのも納得できます。

あらすじは例によってアマゾンさんでも見てもらうとして、なんといっても舞台である江戸時代の大坂は天神界隈の商人町の描き方と、登場人物の凛として生き方と商人としての矜持の持ち方など、女性作家ならではの柔らかでいながら芯が一本通った書き方が良いのですね。長編だけどダラダラした小説は多いですが、この本のように中編なのに無駄がなくギッチリと詰まった小説って珍しいのかもしれません。

さらに話を盛り上げているのがもうひとつの主人公である寒天の存在です。これは主人公が奉公しているお店が商っているものなんですが、単なる商売道具というだけでなく、今にも通じる和菓子への誕生になる重要な小道具になったりするのは、食べることが好きなものにとってはたまらないものがありました。その秘密は読んでからのお楽しみってことで・・・。

と、初めての高田さんの著作でしたが、料理、それも江戸時代の庶民の料理や食事を書かせたら当代随一と言われているだけのことはあると唸ってしまいました。これは次のものも読んでみないといけませんね。そうそう、この本でも浪花商人の心構えみたいなものが度々出てきますが、カーネーションの主人公の小原糸子が語るセリフとかぶるものがあります。やはり商人の話は大阪に限りますね。


タグ :大阪

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流@東山彰良
流@東山彰良(2017-08-01 21:19)

この記事へのコメント :
SUZYさん、ご無沙汰しております。

銀二貫。
ご紹介いただいたことがうれしくて、ついついコメントしちゃいました。

高田郁さん、
多筆ではありませんが、
その分じっくりと、あったかくて、
それでいて、勇気づけられる物語を紡いでくれる作家さんです。

澪つくしシリーズは、ここ数冊は、
恋物語チックになってきてはいますが、
主人公の澪の凛とした生き方、まっすぐな想いは、
心打たれるものがありますよ。

おくりびとのヒットの前に書かれていた『出世花』もオススメです。
Posted by rikazorikazo at 2012年02月09日 16:47
rikazoさん、こんにちは。こちらこそご無沙汰しております。

高田さんの著作についてはrikazoさんのブログでたびたび拝見していていいなぁと思っておりましたが、予想以上の出来栄えだったと思います。人気があるのも納得です。

昨年の秋にNHKラジオの特番で高田さんが長時間登場して、江戸時代の食についてあれこれ語っていたのがとても印象的でした。本当に食べることが好きなんだなぁと思った次第です。

それから出世花、読んでみたいと思います。
Posted by SUZY(メンカタ)SUZY(メンカタ) at 2012年02月09日 21:10
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銀二貫@高田郁
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